春の夜

 マンションの一室から煙が出ているとの通報により十台以上の消防車や梯子車が駆けつけ、ボンベを背負った消防隊員、担架を用意した救急隊員、警察官たちが待機する中、拡声器から「誤報と判明しました」との声が響き渡って、その場にいた人々、俺を含めた大勢の野次馬などが、盛大に、ずっこけた。いい訓練になったじゃないか、よかったなーと考えながら自転車を走らせていると、西の空が赤く染まり、盛大に煙が上がっていた。今度こそ火事に違いないと大慌てで駆けつけたけれど火事ではなかった。浄水場からの排煙がライトアップされている。水を浄化する過程でどうして煙が上がるのか俺には解らないけれども、恐ろしいような、美しいような光景だった。

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