後ろ姿

 七羽の雛を引き連れたカルガモに出会い、八羽目となって親鳥のあとを追いかけた。水場と呼べそうなものが一切見当たらない住宅街のどこに隠れていたのか判らないけれど彼らはたしかに道路を闊歩していて、しかし彼らは魚類ではない鳥類なのだから、水場がなくとも生きていくことに一応は支障がないのだと思い至った。

 空を飛べない雛の時期、空を飛べる青年期、空を飛べない親鳥の時期、再び空を飛べる雛の巣立ち後といった経過をたどるカルガモの一生は、何かに似ているようだと考えた。当たり前のことをいえば人には同じような時期があり、子にかかりっきりで行動が制約される親を、空を飛べないと例えることは容易いけれど、それでは少しの面白味もない。実際のところは初めから制約なんてものはなく、親鳥は飛ばないことを自ら選択しているだけであって、八羽目の異質な存在に気付いていながら足を速めることはせず、飛び立つこともない。

 何らかの原因により子と親が離れることについては、あとで考えることにして、今は写真に見入っていたい。

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