年初

 あけましておめでとう!

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年始

 三つの寺や神社へ初詣に行き、おみくじを三回引いて、大吉、中吉、小吉、と揃えてみた。あと四回引いたらば末吉と吉と凶と大凶が揃うんだろか、と考えたりしたけど無駄遣いもいいとこですね。明日はメトロに乗って新宿の職場へ通い始めるから花園神社でおみくじと御朱印をもらってくる。唐十郎が紅テント公演やってた場所。

 書店でカレンダーを二つ買い、一つを実家のポストへ投函してきた。灯りはついていたから、誰かいたのかもしれない。自分用には星野道夫、実家用には今森光彦。希望も訊かずに押しつけてみた。そんな距離感。

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掲示

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露出

 仕事が終わってから真っ直ぐ帰宅する気にはなれず新宿周辺を二時間くらい散歩した。首都高速の外苑入口では悠然と歩いている巨大な野良猫と会い、俺は寝呆けているのか、寒さで頭がぼんやりしているのか、と目を擦ったけれど確かに猫だった。体長一メートルくらい。目が疲れていたかもしれない。ぼんやりした頭のままで陸橋の欄干にもたれかかり、微妙に露光時間を変えながらシャッターを何度も切った。

 寂しさのあまり夜道で下半身を露出させるくらいならデジカメで長時間露出すればいいのに、と格言めいた言葉を考案したものの、使い道がないばかりか、品もよくない。こういうことを書くと清純な川野さんの印象(多分……)が崩れてしまうから程々にしておこう。

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移動

 募集要項では「三ヶ月の試用期間後に正社員登用」、電話では「半年」、面接では「平均で十ヶ月」だった。来年の今頃には正社員になっていればいいなと考えつつ新しいアルバイトが始まった。夏には二十五になるというのに未だ大学を卒業できないし、問題が山積みになっている人間だけど、何とかなるだろう多分。今年の目標は商品知識を頭へ叩き込むこと。仕事が落ち着くまでは休学するのも手かなと思ったり。安定した収入を得るのが最優先。

 二浪して入った社会学部を辞めて、同じ大学の通信教育部、地理学科に移ってから二年が過ぎた。まあ込み入った事情があってのことで、説明が面倒だから書かないけれど後悔はしていない。半分くらいは自分の人生を投げ出したような格好でもあり、べつの言い方をすれば、何かに委ねているような気がする。自転車を走らせているのか、自転車に運ばれているのか、時々判らなくなっていたのと似ている。

 店に置いてあるカタログをすべて持ち帰ってきた。カメラ屋のときも同じ方法で短期間に知識を得ていた。とりあえずシマノのパーツについて片っ端から暗記を始める。DURA-ACEとかXTRだとクランクセットだけで五万円もして、普通に自転車を組んでいくと、安くても三十万を超える。よくわからない世界だ。

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虚勢

 地域猫の貼り紙を見て、半年前に遊んだ一匹の猫を思い出していた。貼り紙では「虚勢」という誤植になっていた、なんて話はどうでもいい。あまりに人懐こいのと、右耳が欠けているのが気になっていたけれど、つまり、こいつは去勢されていたのだった。警戒する素振りを見せずに、体を擦り寄せてくる大人しい猫だった。

 ヘミングウェイの短編『神よ、男たちを楽しく憩わしめたまえ』では、去勢の意味を勘違いして、ひどいことになった少年が病院に担ぎ込まれていた。かといって俺が方法について詳細に書きたくはないから、まあ省略するんだけど、あるいは人間ではなく猫について。岡崎二郎の漫画『NEKO2』には、闘争心の強かった雄猫が、去勢されて大人しくなる話があった。男らしさを失い、周りの猫たちから馬鹿にされ孤立してしまった彼に、一匹の雌猫が接近してきて懐くといった内容で、べつに感心した訳でもないが、ともかくそういう漫画だった。

 勢いを削がれてしまった男が、どうやって生き延びていくのか知りたいとは思う。公園で出会った耳の欠けた猫は、中性的になったのではなく、依然、男としての自覚があり、身体もさほど変わってはいないのに、根幹は揺らいでいたような気がする。野良猫ではなく家猫でもない、自立はしていないが飼われてもいない、去勢された地域猫というのは決して不幸ではないが幸福でもないと考えた。ただ、その場所にいて、生き延びている。

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私信

 頂いたメールは、昨日の朝、出勤前に読みました。少し時間はかかると思いますが、必ず返信します。お待ちください。(川野)

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小物

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車窓

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紫煙

 職場、実家、自宅の三ヶ所を慌ただしく移動しながら写真を撮ったり、本を読んだり、眠ったりなどしている。副店長の趣味がカメラという幸運もあって、勤務中に店内を撮ってもいるが、勿論ここには載せられない(ガチャピンは載せた)。仕事は右も左も判らない状態だけど、悪い人はいなかったので助かっている。少し戸惑ったのは、写真屋では男女比が三対七だったのに、自転車屋では全員が男ってことくらいか。煙草を吸わない、血色の良い、朗らかな自転車乗りたち。

 自分で撮った雲の写真を見ていたら煙草が吸いたくなった。僕も自転車に乗るから喫煙の習慣はないのだが、年に数本だけ吸っている。埼玉にいても東京にいても最近は雲を見ていたり、駅のホームなどで人が煙草を吸うのをぼんやり見ていることが多い。立ち昇っていく煙が空中へ溶けて曖昧になる様子を、いつまで眺めていても飽きない。

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無題

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帰路

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空瓶

 もうそろそろいいかなと思ったので二年前に関わっていた小説の同人について書きたい。名を「空瓶」といい、五名が参加していて、なぜか最年少である僕が主宰を務めていた。参加者には短編小説を書いてもらい、製本して、文学フリマに参加する計画だったのだけど、いろいろあって流れた。僕自身が気力をなくしたせいでもあり、ほかの原因もあったのだが、まあ仕方のないことで、わだかまりなどは残っていないと思っている。

 小説を書く、という個人的な仕事を、大勢で同時に行なうことには幾つかの困難があって、たとえば方向性の違いであったり、タイミングの問題だったりするが、肝心なのは動機だろうか。僕が書き始めた理由は、第一には自分自身を宥めるためだったのだが、幸いにも他人に読まれる機会があって、予期していない読まれ方をしたり、他者を通しての自己分析みたいなことにもなっていた。書いた当時のことを思い起こすと自分はただ苦しいだけなのに、書かれている文章は綺麗だから、まあそういう感想をもらって、僕も多少は助けられるというような。

 空瓶と名付けた理由について、枕元に転がっていたニッカウヰスキーの空瓶を見たから、と話したことに嘘はないけれど、本当はもっと思い入れがあった。強い空虚感は確かにあるとしても、それは大気や大海のような茫洋としたものでなく、カラとしての自分があり、カラは殻、または空であると考えていたのだが、充たすべき容れ物としての自分があるゆえに空虚を感じて、さらには虚空に手を伸ばしている、そのカラについて考えたい、と伝えたかった。空瓶の読みは「あきびん」か「からびん」かと訊かれて、どちらでもいいと答えたのは、そんな理由による。

 と、まあ、長々と書いてみたものの、同人誌を出したいとか文学フリマに参加したい理由は人それぞれだから、べつにどうだっていいやと考えていたし、小説の中身もてんでばらばらだったけど、構わないと思っていた。大切なのは書き続けることだから、参加していた人々が、何らかのかたちで書いていてもらえれば、嬉しんですよ、と今さらだけど伝えておきたい。表紙に使うつもりだった写真は、ツンドラを背景にしたパスタソースの空瓶。

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降雪

 強い冬型の気圧配置になり、南国の鹿児島で雪が降ったらしい。これが本当の南こうせつ、などと下らない駄洒落を書いている俺はダジャレ部に所属しているのですが、なんだか自分が真面目か不真面目なのか判らなくなってきた今日この頃。

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青空

 二月から三月にかけての関東地方は南岸低気圧の通過によって曇りや雨や雪の日が多くなるから今のうちに青空を目に焼きつけておかないといけない。今度の週末は大雨。(週間気圧配置図

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消波

テトぐるみねー。分かる。分かるよ!消波ブロック好きなら一度は抱きしめてみたいものだよね。みんなもそうでしょ?そうだよね?

@nifty:デイリーポータルZ:「テトぐるみ」がかわいい

 消波ブロックをかわいいと思う感性は、頑張ったけれど理解できなかった。あとは名称がどうしてもベトナムの旧正月「テト」を想起させて、受け容れがたい。べつに悪い意味ではないのだけど、おそらくテト攻勢を思い出してしまうからだろうな。

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