扮装20071218
バイト先の休憩室の棚の上の箱の中の紙袋、と文章にすれば少々ややこしいところからサンタの衣裳を見つけて、帽子と髭と上着とズボンを身に着けると、日頃は眠っている何かがふつふつと涌きあがってきた。この恰好のまま自転車に乗って忘年会に現れたら割引するよと店長は言うが、しかし忘年会は二十七日だから、ちょいとばかり羞かしい。ここまで書いてふと「羞かしい」の送り仮名は正しいのかどうか不安になって検索をかけてみたら、「羞ずかしい」が一番多くはあるのだが、何故だかフランス書院の官能小説ばかりが出てきて本当に羞かしく思ったので「羞かしい」にしておきたい。明後日からは店で唯ひとり俺だけがサンタに扮装し、店頭でティッシュを配ったり子どもにオモチャを渡したり、レジを打ったり年賀状の受付をしたり、髭を着けたままお客さんにカメラの説明をしたりすると思うが、怪しまないで頂きたい。千二百万画素の機種としては富士フイルムのF50fdが横顔を検出できるしハニカムCCDなので綺麗ですよとか髭を着けたまま言うかもしれないけれど、気にしないで貰いたい。余談だけれど富士フイルムは富士フィルムではなく、キヤノンと同様に、拗音を小字で表記しないのが正しい。
仕事を終えてサンタの帽子を脱いだかわりに自転車用ヘルメットを被り、らんらららんと愉快な気分で歌いながらセブンイレブンに行った。奮発して弁当と缶酎ハイと東京新聞を買おうとすると、新聞が百三十円だと店員は言い、頭の中で盛大に咲き乱れていたお花畑が一瞬にして台風による塩害にやられたような気分になった。東京新聞の朝刊は百円だと懸命に伝えたのだが、紙面には一部売りの定価が示されていないし、レジには百円の新聞なんてボタンがありませんから、という三名の店員に気圧されてしまい、渋々と百三十円を払った。あまりにレジでごねてしまうとクレーマーのようで互いに気分がよくないから、後日あらためて返金を求めに行って、ついでに缶コーヒーなんかを買ってみせるのが大人の対応だろうか。僕はプリンタ代わりにネットプリントを愛用しているからセブンイレブンを使わない訳にはいかないのだ。あと、僕は接客業をしているのだから、客が立腹する事例や、取るべき対応について、考えを深める必要がある。
仕事の休憩中に見ていたテレビで、象が足し算をできるという研究について映していた。東大の博士課程で学んでいる女の子が話していたのは、彼ら象たちが賢いのは単独でなく群れで行動することによりコミュニケーション能力が磨かれ、知性の発達に繋がっているためでは、ということだった。俺は足し算ができるだけでなく知性をもっと伸ばさないといけない。懐の深い、立派なサンタになりたい。
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