宙空

 オンチョイと書かれた見慣れない台湾野菜が、見切品として並んでいたので買ってきた。日本では甕菜(えんさい)というらしい。茎の断面を観察してこれはもしや中国語でいう空芯菜ではないかと思い、調べてみたらば正解だったので空芯菜炒飯にして食した。ほんとうはオイスターソース炒めがよいのだけど、我が家の調味料は塩胡椒と醤油と味噌だけだ。

 今夏もまた途中から鬱々となるかもしれない長期旅行を予定しているのですが、東北地方および北海道在住の方で食糧など差入れてくださる方がいらっしゃればyk あっと leafage.orgに宛ててその旨を書き送ってもらえると俺が喜びます。空芯菜、うまい棒、ちくわ等々、中空の食べものが好物なので宜しくお願いします。

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日記

 蚊取線香を焚いてすぐさま二匹の羽虫がぽてんと落ちてきたので驚いた。部屋が狭いとこういうとき便利だけれど火事のときは煙の充満も速そうだ。バイトの後輩が今月から自活を始めたのだが、毎週月火に食パンが七十円と充填豆腐は十円で買えるよと特売日を教えるくらいしかできないので無力だ。俺と同じ月収なのに家賃が倍の部屋を借りたのが凄い。

 傘を差して屋外のコインシャワーに行くことがひどく不条理であると思えてならない。一度は台所の流しで頭を洗ってみたけれど、これも少々面倒だ。視界に入ったCASSETTE BOMBEという文字列を、何故だか一瞬カセットボンビーと読んでしまってうろたえた。徳政令カードが欲しい。

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日記

 ヴェーバーの客観性論文をかなりの苦痛を伴ってどうにか五十頁だけ読み、レポートにようやく取り掛かった。頭がスポンジ(©泉野明)な状態に陥っているけれども巻末の折原浩の解説に多少は救われる。目下の自分の実力ではこの程度の抽象的論考についていけない、と判っただけでも収穫としておこう。今日から二週間余り、前期試験。

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黄道記 - 1

猫

 走り始めて最初の夜、道の駅で猫に襲われ、ヤキトリとチキンラーメンを奪われた。猫がトリを食べることに違和感を覚えたけれど、同じ東屋の下に寝転がっていたS君が肉食だから当り前だというので、そう思うことにした。

 翌日、追いつかれないよう懸命にペダルを漕ぎ、渋川から三国峠を越えて寺泊まで百九十キロを走った。追ってくるのが猫かS君かは判らないけれど基本的に自分は人間嫌いであるし猫は食糧をとるので、何かと気が重いのだ。

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黄道記 - 2

震災

 芭蕉が「五月雨をあつめて早し最上川」と詠んだ年は、今年と同じく長梅雨であったらしいと秋田魁新報に書かれていた。酒田で僕は「塩だれを搦めて旨し鶏の皮」と詠み、梅雨明けを祝って発泡酒とヤキトリを食いながら花火を見た。

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黄道記 - 3

自由意志

 日本海に沿って数キロごとに現れる、小さな漁港と一軒の雑貨屋があるだけの村落を通過する度に、家を持つことの意味を考えた。何処に住むべきかを自分の意思で決定するのは非常に難しいことだと思う。

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